- 市川森一シナリオにみる ショーケン&ジュリー -
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| 市川森一著「夢回路」に収録された【刑事くん】のシナリオを何本か読むことにより、市川シナリオにおけるショーケンとジュリーの
共通項が見えて来ました。 それは、かつてアパートで深夜までドラマストーリーについて 語り明かしたという、市川森一とショーケンの二人による意図的なオマージュや作家性を垣間みることができます。 そして、PYGとショーケンとジュリーの決着点が 傑作「そして、愛は終わった」に繋がるのです。 ■【刑事くん/もどらない日々】 ショーケンがまだ【太陽にほえろ!】に出演する前に【刑事くん】という 30分枠の刑事ドラマに出演したことから始まります。 “ある日ショーケンが「市川さんは今テレビ何書いてるんですか」と聞くから「『刑事くん』ってのをやってるよ」というと、「じゃそれ出るよ」と。 最初はテレビ局も制作会社も本当に出てくれるとは信じてなかった。 しかしそれが実現して、PYGの歌から【もどらない日々】という話を書いたらこの時視聴率が20%にはね上がった (中略) これは勿論僕にとっては【傷だらけの天使】や【楽劇ANZUCHI】などでの ショーケンやジュリーとの付き合いに発展していくわけです。 ” (市川森一著「夢回路」) 【刑事くん/もどらない日々】での冒頭シークエンスは、主人公である 刑事が犯人追跡のため、元刑事役であるショーケンの車に乗り込んでくることから始まります。 これは後の【太陽!/そして、愛は終わった】におけるショーケンとジュリーの出会いシークエンスでそっくりそのまま使われます。 これは市川森一氏の手札のひとつだから、というよりは意図的な再使用を感じます。 この【刑事くん/もどらない日々】で、ショーケン演じる元刑事は 恋人ではなく、自分と血のつながりのある少女との関係を 大切にする決意をするところで終わります。こちらも直接的ではないにせよ、他人ではなく血縁の人間との関係を選ぶ【太陽!/そして、愛は終わった】に近いモチーフが選ばれています。 ■【刑事くん/愛の航海】 こちらは、特別にショーケンやジュリーが出演した作品というわけではありませんが、全編がスナックにおけるシットカム作品でありそのシットカムにPYGの【PYG/自由に歩いて愛して】と【PYG/淋しさをわかりかけた時】が重要なキーとして存在します。 様々な感情を持った、男女がこの【PYG/自由に歩いて愛して】の 流れるスナックでもみあい、殴り合い、そして殺人が起きる。 やがてレコードはB面へと裏返り、【PYG/淋しさをわかりかけた時】が流れ始める時に事件は解決へと向かうという、音楽の詩の持つ意味と ストーリーの展開と、レコードの時間軸を融合させたとんでもなく秀逸な作品なのですが、男女がもみあい殺人が起きるスナックの名前が 「スナック・箱舟」なのである。 これは、【太陽!/そして、愛は終わった】において、ショーケンとジュリーが殴り合うスナック「箱舟」と全く同じ名称である。 様々な感情を持った人間がもみあうその様子はまさに 【刑事くん/愛の航海】へのオマージュと関連性がみられます。 ※市川森一はたびたびスナックの名称を象徴する手法を使います。 【ウルトラセブン/他人の星】劇中におけるスナック「ノア」や 同じくショーケン主演の【太陽にほえろ!/危険な約束】においてのスナック「旅路」にも同じテーマ性が伺えます。 ■【刑事くん/許されない愛】 ジュリーがゲスト出演した本作は、前作2本と比べると関係性は 薄く感じられますが、ラストシーンにおいてジュリーが刑事と対峙した際に 本作では、少女を救うために手にしたジャックナイフをジュリーは 海へ投げて捨てる描写があります。 少女を助けるために握ったナイフと、【太陽!/そして、愛は終わった】における 愛する女性を守るためにあえてふりかざしたナイフの関係性。 これは、市川森一氏による“ナイフと人間の愛情”という独特な世界観があります。 |
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■【太陽にほえろ!/そして、愛は終わった】 そして、1972年から1973年にかけて放送される【太陽にほえろ!】の中で、 音楽的には成功をとうとうおさめられたかったPYGの最高傑作が生まれます。 それが【太陽!/そして、愛は終わった】であります。 ボーカル(主演)はショーケンとジュリー 演奏(BGM)が井上尭之、大野克夫、岸部一徳バンド。 そして、ラストシーンでショーケンはジュリーを射殺する結末を向かえる。 全編における映画的なモンタージュ撮影や構図は、まさにテレビ映画の枠を 超えた傑作ですが、それとはまた別のベクトルとして 市川森一氏によるショーケンとジュリーのドラマへの一つの決着点として本作が存在するのではないでしょうか。 この後、市川森一氏はショーケンと共に【傷だらけの天使】へと展開していき、演奏は引き続き井上尭之バンドとなるわけです。 ■【殺し屋の詩】から【13日金曜日マカロニ死す】へ。 しかし、俳優・ショーケンとしては、この【太陽!/そして、愛は終わった】からまずはあの封印作品【太陽!/殺し屋の詩】へと繋がると私は確信しております。 爪研ぎを使っての、今度はショーケンによるライバルの刺殺。 犯人を殺してしまってからの展開は、まるで【太陽!/そして、愛は終わった】のラストシーンとは対極である点。 そしてその描写は、そっくりそのまま【太陽!/13日金曜日マカロニ死す】へとモンタージュされ、今度はショーケン自身が何の関係もない人物より 刺殺されるという展開に続いていくのではないでしょうか。 やはりショーケンの初期作品群には密接な関係性があるように感じられます。 |
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